畜産廃水から「発電+リン回収」に成功 微生物燃料電池が廃水浄化・発電・リン回収の一石三鳥を可能に
岐阜大学 エネルギー・素材・繊維 研究 2014年12月02日 12:10
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NEWS RELEASE
報道関係者各位

2014年12月2日
国立大学法人 岐阜大学

畜産廃水から「発電+リン回収」に成功
微生物燃料電池が廃水浄化・発電・リン回収の一石三鳥を可能に


国立大学法人 岐阜大学(所在地:岐阜県岐阜市柳戸 学長:森脇久隆)流域圏科学研究センターの廣岡佳弥子准教授と市橋修特任助教等の研究グループが、微生物燃料電池により豚の糞尿などを含む畜産廃水からリンを回収することに成功しました。

■本技術の概要について
微生物燃料電池とは、微生物が有機物を分解する時に出る電子で発電する電池です。廃水処理に適用した場合、廃水中から有機物を除去すると同時に電気エネルギーを回収できます。当研究チームは、この発電と同時に、電極にリン付着させて回収することもできることを突き止めました。この発見は世界で初となります。

■微生物燃料電池について
微生物燃料電池は、水槽内に電極が2種類あり、それらが電気回路でつながった構造になっています。水槽内に廃水を入れると、微生物が有機物を分解する過程で電子を電極に流します。これによって電気が発生する仕組みです。
微生物燃料電池を利用した廃水処理システムが実用化すれば、発電を行いながら廃水を処理できるため、従来の方法に比べ省エネとなります。将来的には、処理にかかる以上のエネルギーを回収できるようになることも期待できます。

■発見の経緯
微生物燃料電池に関する従来の実験では人工的に作った廃水が多く使われていました。当研究チームでは実際の養豚廃水を用いて実験を行っていたため廃水からリンを回収しやすい条件がそろっており、今回の発見に至りました。

■実現可能になること
微生物燃料電池を利用した廃水処理システムが実用化すれば、発電を行いながら廃水を処理できるため、従来の方法に比べ省エネとなります。さらに技術が発展すれば、処理にかかる以上のエネルギーを回収することが期待できます。また、発電に伴う化学反応を利用してリンの回収も行うことができます。
推計では、廃水には日本の年間電力エネルギー供給量の約5%に相当するエネルギーが含まれていると考えられます。エネルギーリサイクルの観点からは、これを活用していくことが重要です(※実際に利用できるのはその一部に限られます)。

■エネルギー回収とリン回収の重要性
リンは多くの廃水に大量に含まれており、処理されずに環境中に排出された場合、水域の富栄養化の原因となるため、廃水から除去することの重要性が従来から認識されてきました。一方でリンは細胞の主要構成要素であり全ての生物の生存にとって必須です。農業分野では化学肥料の主要成分として利用されており、金属加工や食品添加物等幅広い分野でも利用されています。
また数年前まで、経済的に採掘可能なリン鉱石は地球上から数十年程度で枯渇することが懸念されていました。近年の調査によりリン鉱石が新たに発見され、当面は枯渇の心配をする必要がなくなったとされています。しかしながらいつかは枯渇する資源であることにかわりはなく、大切に使っていかなくてはなりません。さらに日本はほぼ全量を輸入に頼っており、必要量の安定確保や、価格交渉力の確保のために、リンのリサイクルを行っていくことは重要です

■研究のきっかけ
廣岡が生まれ育った三重県の村には下水処理施設がなかったため、廃水が処理されることなく排出されている光景を見てきました。そこで環境問題に関心を持ち、廃水からのエネルギー回収技術として実用化が期待されていた微生物燃料電池の研究に着手しました。

■今後の課題
微生物燃料電池を利用した廃水からの発電・リンの回収について、実用化にまでは「大規模化」と「コスト」という2つの課題を解決する必要があります。現在の微生物燃料電池は実験室レベルの小さなサイズが主流となっており、世界最大サイズのものでも一般家庭の浄水漕にも満たないサイズです。規模を大きくするためにはコストもかかるため、今後は実用化に向けてより大規模な発電施設を構成するためにコスト問題も含め解決を目指していきます。
微生物燃料電池を活用した廃水処理の省エネ化につきましては、10~20年後の実用化に向けて研究を進めていきます。

■大学概要
法人名:国立大学法人 岐阜大学  代表者:学長 森脇久隆  所在地:岐阜県岐阜市柳戸 1-1
URL :http://www.gifu-u.ac.jp/

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